2月に入ると、そろそろ確定申告の時期に突入しますね。私が働く職場は役所の税務課であることから、1月に入るとすぐに給与収入のある方々の給与報告書が事業者から続々と届き、これを開封して内容を確認し、課税のためのデータ処理を行う仕事が佳境を迎え、アルバイトとはいえ、残業もある日々が続いています。それに加えて、確定申告時期になると、申告会場に出向いて申告書を持ち帰り、課税データの入力を行うという仕事が待っています。
役所の組織自体も、経費削減という厳しい目標が掲げられているため、少ない人員でいかに残業を無くして効率よく短期間で仕事を遂行するかが問われているわけで、そのために申告時期には職員とほぼ同じ数のアルバイトが投入されるわけです。
今年度からはアルバイトも職員並に専門知識を習得して、課税データ処理をさせる方針で、私は去年の秋から税務知識を学び、ある程度のデータ処理ができるようになりました。そして、1月からは数週間おきにアルバイトや派遣スタッフが2名づつ増員されつつあります。
採用権を握るのは例の女性係長で、「若い子よりは、ある程度社会経験を積んで落ち着いた年齢のバイトを雇う」という方針のようで、全体的に平均年齢は高めのスタッフ構成になっています。そして、1月から採用されたとあるアルバイトの方は、聞いてみると私と同い年だった(もうすぐ孫が生まれるらしい)のですが、これがまたとんでもない逸材のようで。
一般的に仕事世界では、年齢に関わらず、先に在籍している経験者を敬うというのが礼儀だとは思うのですが、彼女は勤務初日からどうも馴れ馴れしいというか、かなりな厚かましさぶりを発揮し、勝手に自分の定位置を決めてしまうと、周囲が忙しく作業をしているというのに、持参した茶を啜りながらのんびりと構えているという具合でした。
そして指示された作業をこなす段になると、誰に言うともなく「役所って暇なところやと思ってたのに、安い賃金でこんなに使われるなんて詐欺やわ。帰りたい。こんなことやって何の意味があるんですか?!これって無駄な作業じゃないの?!」と延々と独り言が繰り返される始末で、聞いている周囲の士気もどんどん下がっていくのです。
おまけに説明された作業手順を守らずに、自己流に解釈しているらしく、相当な手の抜きっぷりで、「申告者が作成してきた内容を正確に入力するように」という指示を守らず、勝手に省略してしまったり、誤字脱字が非常に多いため、さらなる確認要員が必要となるほどなのです。
さらには、企業が送ってきた人数分の給与報告書については、たいていが本票と控えの二枚綴りになっており、本票を課税のためのデータ処理に送り、控えは念のために保管しておくために仕分けするのですが、1日に何百枚と仕分けする作業が面倒くさいと適当にやった結果、肝心の本票を何枚も控えの束の中に紛れ込ませてしまい、後日バイト全員で大騒ぎして捜索しなければならなくなっています。
そうして周囲のバイトの手を止めてフォローに廻らせ、何とか事なきを得た後も、「ああ、よかった!みんな気をつけましょうね!」と反省の色も見せずにその場を締めてしまうため、周囲のイライラと疲労感は確定申告時期を迎える前から既にピークに達しているのです。
失敗から全く学ぶこともなく、「そんな手順は聞いてない!」と無理無理に自己を正当化し、周囲の忠告に耳を貸さずに同じ失敗を何度も繰り返す。そして常にぶつぶつと「面倒くさいわ。わけわからん!」とぼやいているわけで。
さすがに同い年とはいえ、「根っからのオバハンやから、言うても無理や。とにかく被害を被らないようにしたいものだわ」と仲間同士でぼやき合っています。
しかも自分にはとことん甘い彼女は、他人には意地悪な姑並の厳しさを発揮し、人に入れてもらった茶に「ぬるい、ぬるい!」と声高に文句を言い、家庭の事情で時差勤務している人に対しては、「忙しい時期に、どうして遅くから出てくるの?」と聞き、チームワークを要とする職場の雰囲気をすっかり冷やしてしまっているのです。
思えば、かつての社会保険庁にもこんな人物がたくさんいたからこそ、消えた年金問題が生じたのでしょうね。これでは、いくらシステムが進化したとしても、人為的なミスは防ぐことはできないのかもしれません。
そんな彼女を見ていると、「ものごとに誠実に取り組むこと」の大切さを改めて実感することができるわけで、「何事も手抜きなしに、ひたむきに取り組むこと」が魅力的に生きる秘訣かな、と思っています。